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Building a better working world(より良い社会の構築)の実現を目指して

LGBT+当事者の法的安定性が担保されていない国は、当事者が経済活動にフルに参加できない事から1人あたりのG D Pに15万円以上の差がある、と今回発表された経済調査に示されています。1つは、当事者の従業員は、生活や就業の安定が守られていないため、生産性が10%以上低くなるためです。2つ目の理由は、自分のセクシャリティが他に知られることへの恐怖が精神疾患に繋がるリスクを高めるからです。精神疾患の与える経済損失は甚大である事が慶応義塾大学の行った調査でも示されています。3つ目は、自分のセクシャリティを知られる前に離職するといったことを繰り返すため、キャリアの構築が困難になり、生涯報酬が抑えられてしまうためです。

日本国内の調査によるとLGBT+は人口の3%程度、あるいは8-10%とされており、当事者人口は年々増える傾向にあります。理由として、地方自治体レベルでパートナーシップ証明書が発行されるようになり、当事者の存在を肯定的にとらえる環境が整いつつあることが考えられます。米国の当事者人口も、過去に同じ様な推移があり、GLAAD(米国内においてLGBT+の人々のイメージに関するメディアモニタリングを行っている非政府組織)の調査によると、ミレニアル世代のLGBT+当事者人口は30%を超えました。日本国内の直近の調査の「人口の約10%」という指標を使ったとしても上記3点が経済活動に与える影響はとても大きい、と言っても過言ではありません。
私は日本に生まれましたが、8歳の時に、父親の海外駐在で米国に転居することになり、2016年に帰国するまで、海外で教育を受け、就職をし、米国および英国で生活してきました。2014年には英国人男性と結婚をしました。2016年に帰国し、EY Japanの最高執行責任者(COO)の職務に就いています。

現在の日本では、外国人同士の同性カップルには滞在を可能とするビザが発行されますが、日本人と外国人の同性カップルの場合、外国人にはビザが発行されません。この4年間、私の夫は日本語を学び、就職をして就労ビザを取得しましたが、配偶者ビザが発行されないため、仕事を失うと日本に滞在できません。私たちは二人とも日本の国際競争力の向上に貢献したいと願いながら毎日仕事をしています。また日本に永住することを望んでいますが、住居を買い、資産を蓄える、ということに未だに踏み切ることができません。なぜなら、夫は職を失えば、国外退去という状況にあるからです。私たちには子どもを持つことも、育てることも容易ではありません。まさに経済活動にフルに参加できない状況です。

残念なことに、ここ数年の間に、EY Japanにおいて既に何人もの優秀な従業員が同性のパートナーとの将来(結婚や子育て)を考え、LGBT+の人権を守る法律のある国々、米国、カナダ、台湾などに移住しています。この例はすべて日本人と外国人の同性カップルです。日本の人口減少は出生率の問題だけではないのです。
さらに、海外の日系企業やEYで働いている当事者の中には、LGBT+に対する差別禁止法がない日本で働くことに不安を感じ、家族にも心配/反対され、キャリアアップのチャンスがあっても、日本への転勤に踏み切れないプロフェショナルが何人もいます。LGBT+の当事者の人権が尊重されない国は、いろいろな意味で「個人が尊重されない国」と解釈をする人は、LGBT+当事者以外にも多く存在します。海外の調査ではLGBT+に関するポリシーを有していない企業には、非当事者も就職を望まないという結果がでています。これを国に置き換えると、あらゆる意味で個人の暮らしが大切にされない国、というレッテルを貼られている、ということです。LGBT+の家族や子女がいる方は、当事者以上にそうした環境を許容しないということも解っています。政治家でもLGBT+の方々を受容しない様な発言が繰り返されることは海外メディアでも掲げられていて、就業環境のネガティブなレッテルにつながっています。

今後、日本は海外から専門職などの労働者の本格的な受け入れを考えていかなければいけません。そのためには、競合する他の国と比較して、日本は安全で公平な将来性のある国であるという印象と土台を築く必要があります。社会制度の対象を広げ、海外の優秀な人材に未来志向的な日本の印象を根付かせ、日本で働くことによるキャリアアップの機会を高めると同時に日本からの人材の流出を止めることを真剣に考えねばならない時期にあります。

日本はLGBT+に対する差別的な法律はありませんが、無意識な差別は日常的に存在します。日本は私が誇りに思う素晴らしい母国ですが、LGBT+の権利を守る法律がないため、私は自分の存在を国に認めてもらえないように感じます。婚姻の平等はLGBT+の権利を守ることだけではなく、多くの当事者の存在を国が認めるという大きな意味を持ちます。ローマ法王は先月、同性愛のカトリック信者も神の子であり、同性パートナーシップを支援する、という大きな変革を打ち出しました。つい最近までは同性に対し愛情は持っていたとしてもそれ以上は許されないと言っていた宗教でも時代とともに変わってきているのはG7など先進諸国にとどまりません。

私は若い頃、日本に帰国し、進学し、就職するという将来のキャリアを全く描くことができず、生きていくことにも絶望しかけていましたが、多くの人に支えられ、励まされ、キャリアを築き、結婚をしました。同性婚や差別禁止法が制定されていない母国に戻ることは躊躇しましたが、あらゆる面で誇りを持てる母国であることは実感し始めています。若いLGBT+当事者たちが将来に希望を持ち、勉学に励み、社会の活力になるこれからという時期に、命を絶ったり、国を離れる選択をしなくて済むように、また、国際社会において日本が魅力的な国として認められるよう、1日も早く差別禁止法と婚姻の平等が認められることを、個人としても、企業の経営者としても強く望み、実現に向けた活動を支援します。また、このような活動が必要なくなる、自然に受け入れられる日が来ることを心から深く願います。

EY Japan グループ

COO

貴田守亮さん

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