INITIATIVE
企業による取り組み
2021.06.03
Business for Marriage Equality
ビジマリオンラインミーティング vol.2(ゲスト:日本コカ·コーラ様)
3月31日、賛同企業の皆様に向けたBusiness for Marriage Equality(通称:ビジマリ)オンラインミーティングの第2回を行いました。
婚姻平等アップデート
ミーティングの冒頭では、公益社団法人Marriage For All Japan共同代表の寺原が3月17日に出た札幌地裁違憲判決の要点と意義について報告しました。
札幌地裁は先日、「同性婚を認めていない現在の法律は、平等原則を定める憲法14条1項に違反する」という判決を下しました。また、憲法24条(婚姻は両性の合意のみに基づいて成立)が同性婚を禁止していないことを明らかにしたのも重要な点です。画期的な判決が下された理由の1つに、国民の意識・社会状況の変化が挙げられます。そして、企業のLGBTに対する基本方針策定などの取り組みが、これを認定する事情として取り上げられました。
その他にも、「圧倒的多数派である異性愛者の理解または許容がなければ、同性カップルが婚姻による法的効果を受け得ないとするのは同性愛者の保護にあまりにも欠ける」といった踏み込んだ判断がなされました。
ケーススタディ
ケーススタディのセッションでは、日本コカ・コーラ株式会社 ジャパン&コリアオペレーティングユニット 人事本部長のパトリック・ジョーダンさんに、コカ・コーラ社の取り組みやご自身の経歴についてお話しいただきました。
日本コカ・コーラ株式会社とボトラー5社※で構成されているコカ・コーラシステムは、日本における婚姻の平等実現に賛同されています。同社が戦略の1つに多様性の尊重(インクルージョン)を掲げていること、社員とその家族・友人に対するサポートの必要性を感じたことが、賛同のきっかけになったそうです。
※日本のコカ・コーラシステムは、原液の供給と製品の企画開発やマーケティング活動を行う日本コカ・コーラ株式会社と、製品の製造・販売などを担う5つのボトラー会社および関連会社で構成されています。
コカ・コーラ社は日本だけでなく、世界中でLGBTQを支援する活動をされています。その中から、今回はオーストラリアでのキャンペーン“We say yes to love”をご紹介いただきました。オーストラリアでは2017年、同性婚の是非を巡って世論が分断されていたそうです。そこで同社が発売したのが、2つの缶を合わせると“Love”という単語が現れるデザイン缶でした。
このキャンペーンは多くの大手メディアによって肯定的に報道され、高いエンゲージメント率を出すなど、広告としても成功したといいます。それだけでなく、従業員からも「素晴らしい声明を出せる企業で働けることを誇りに思う」といったコメントがあがったそうです。また、ゲイであることを公表されているジョーダンさんは、ありのままの自分で生きられるようになるまでのご自身の経歴について話してくださいました。
アイルランド出身で、23歳の時にオーストラリアに移住したジョーダンさん。16歳でご自身の性的指向に気づいた後、一度は自殺も考えたといいます。ジョーダンさんにとっての転機は、オーストラリアで2017年に行われた同性婚への賛否を問う国民投票でした。当時、同性婚に反対する側からは誤った情報が発信されることもあったそうです。誰も自分の話を聞いてくれないのではないかと感じたと、ジョーダンさんはおっしゃっていました。
婚姻の平等が社会と企業にとってよいものであると発信する必要性を感じたジョーダンさんは、職場の上司にカミングアウトをし、職場のサポートを得て、ご自身の体験を公の場で話し始めたそうです。「実際(社員を)教育する立場になって学んだこと、それは人のことを理解することはできないけれども、その人のことを尊重することはできるということです。」という言葉が印象的でした。
また、2021年5月31日、日本コカ・コーラ株式会社と、全国 5 社のボトリング会社等で構成されるコカ・コーラシステムは、同性パートナー※にも対応した福利厚生および就業規則の整備を完了しました。これにより、日本のコカ・コーラシステムで働く全国約2万人の社員を対象に、法的婚姻関係にあるパートナー以外の同性パートナー※も等しく配偶者として扱うことになります。
※戸籍上の性別が同じパートナー
■プレスリリース
日本のコカ・コーラシステム全6社にて 同性パートナーの就業規則・福利厚生整備を全国で完了: The Coca-Cola Company (cocacola.co.jp)
ビジマリから企業の皆様へ
賛同各社の皆さまにはぜひ、それぞれの業界内での賛同の輪を広げていただければと思います。ビジマリでは月に1回のオンラインミーティングに加えて、企業の皆様とのコラボレーションも進めていければと考えていますので、気軽にお声掛けください。
文/安澤悠夏(学生ボランティア)