INITIATIVE
企業による取り組み
2021.05.25
Business for Marriage Equality
ビジマリオンラインミーティング vol.1(ゲスト:セールスフォース・ドットコム様)
2月25日、Business for Marriage Equality(通称:ビジマリ)の第1回オンラインミーティングが行われました。このミーティングは主にご賛同企業の皆様に向けて、これから月1回のペースで開催していきます。
共同代表からのメッセージ
ミーティングはビジマリを運営している3つの非営利団体それぞれの代表からのメッセージで始まりました。
公益社団法人Marriage For All Japan共同代表の寺原はビジマリの目的について、「企業による賛同を見える化し、日本における結婚の平等の実現を後押しすること」「賛同企業とのさまざまなコラボレーションによって、企業から社会を変えていくこと」と話しました。
続いてLGBTとアライのための法律家ネットワーク共同代表の藤田は、先進国の中で婚姻の平等が実現していない日本がいかに立ち遅れているかについて語ります。また、職場における平等実現や人材獲得の視点から、企業にとっての同性婚実現の重要性を強調しました。
NPO法人虹色ダイバーシティ代表の村木は、企業のLGBT施策が職場に及ぼす影響、法的に同性婚が認められることの重要性について話しました。「ビジネス分野の取り組みが進むにつれ、同性同士が結婚できなくても大丈夫なように企業が現状を補強しているように感じられて違和感が膨らんできた」という趣旨の村木の発言には、はっとさせられました。
ケーススタディ
ケーススタディのセッションでは、株式会社セールスフォース・ドットコムの岡林薫さんと嶋ピーターさんに、日本法人におけるLGBTQに関する取り組みについてお話しいただきました。
「equality (平等)」を企業理念の1つに掲げる同社では、複数のERGが従業員によって運営されています。ERGは従業員リソースグループとも呼ばれ、人種・セクシュアリティなど多様性のある職場を育成するための従業員主導のグループを指します。岡林さんと嶋さんは、LGBTQにフォーカスしたERGである「Outforce」を運営しています。
Outforceは、アライを増やしていくことを目標に活動しています。岡林さんは、その“アライ”へのステップを普段どのように説明しているか紹介してくださいました。
LGBTQの理解者・支援者を“アライ”と呼びますが、これは抽象的な言葉で、何をすればアライになれるのか明確に決まっているわけではありません。Outforceが提示するアライへのステップは、どのような行動を起こせば良いのかが分かりやすく、LGBTQに興味を持ち始めた人も活動に参加しやすいシステムだと感じました。また、嶋さんからはセールスフォース日本法人が同性婚賛同に至るまでの経緯を説明していただきました。
嶋さんによれば、LGBTQをどこか遠い世界の話だと思っているために、外資系でも日本現地での取り組みは遅れているところもあるそう。同社の場合は、東京レインボープライドへの参加を通して社内の意識が変わったといいます。現在は会社内をセーフスペースにするための制度づくりと、その制度をきちんと利用できる環境構築に取り組んでいるとのこと。そしてセーフスペースを会社の外にも広げていくために、企業としての同性婚賛同に至ったそうです。
嶋さんは「企業としては、企業が社員を守るためにも社内のルールだけをサポートするための変更だけじゃなくて、やはり(同性婚に)賛同することによってその社員の会社外、家に帰った時・ところもセーフスペースになるように賛同を表明するというのが理由になっています」と締めくくりました。
Q&A
Q&Aのコーナーでは、参加者とビジマリのメンバーの間で活発な議論が行われました。中でも一番盛り上がったのが、「企業の賛同を得るには、従業員から企業への働きかけとしてどのようなことが必要か」というLGBT当事者の従業員の方からの質問です。セールスフォースの嶋さんはご自身の経験を踏まえ、個人での活動を継続することや、人事にアプローチすることを提案してくださいました。村木からは人事に働きかけをする際、ビジマリが作成した賛同企業一覧のチラシを使用してみてはとお伝えしました。
その一方で、「従業員自身のカミングアウトが社内の差別やキャリアへの障害につながる恐れがあるのではないか」という懸念の声も上がりました。実際、同じように声をあげたくてもあげづらいと感じている方は沢山いらっしゃるのではないでしょうか。こういった発言に対し、ナイアンティックの村井さんからは「自分の会社で環境づくりを行うだけでなく、多くの賛同企業をこれから募っていくことも私の使命だという風に考えています」と、力強いコメントをいただきました。
全ての人にとって暮らしやすい社会を作りたいと、改めて感じるセッションでした。ビジマリ初めてのオンラインミーティングでしたが、大変有意義な集まりとなりました。ご参加いただいた皆様に、改めて感謝申し上げます。オンラインミーティングは定期的に開催されますので、今後とも宜しくお願いいたします。
文/安澤悠夏(学生ボランティア)